【癒し】じい散歩(著者:藤野千夜;2023)

やはりキャッチーなタイトルとセンスの良いイラスト!?、カラーリングで思わず手に取ってしまいます。

主人公は元気で一家の大黒柱の新平さん、その他キャストは生活習慣病の影が迫る妻の英子さん、引きこもりの長男、長女?のような次男、事業をするも軌道に乗らず親に頼る甘えん坊の三男が織りなす、こんな家庭は多いんだろうな、今後も増えていくのだろうと心配になりつつも、卑屈な感じがしなく、流れに逆らわず生きている一家の日常を切り取った内容で、とても心地よい1冊でした。一人突っ込み、やや爆笑連発でした。

この世代では、男(父)は外で一生懸命働き、女(母)は家庭を守るという役割分担が多かったと聞いています。子育ては母親任せで父親はあまり介入しない家庭が多かったと聞くことがあります。子育ては家庭ごとに考えがあって、自分の好きなように生きればいいと言われる優しい親御さんがいる一方、こんな努力をすれば将来はこんなことができるようになるよ!と子供では知識のない選択肢を提案してくれる親御さんもいます。「じい散歩」に出てくる新平さん一家はまさに前者?だったのか、色々なキャラクターの子供達に成長しています。人生の評価で良かったかどうかは、子供たち本人が自活せざるを得なくなった時、個人個人で気が付くことになるのでしょうが、自分は心配性なので後者ですね。。。

私は何かにつけて結婚生活という観点で考えてしまいますが、新平さんを見た時、古風で家族を守るために一生懸命働いてきた夫であり父ではありますが、どうも言葉が足りないと思いました。本の内容は老いてからの日常の切り取りですが、妻に「今日はどこに行くの?」聞かれても色々話すのは面倒でさっさと散歩に行ってしまう。認知症も患いかけていた妻は、いつも同じ事を心配しており、90歳になるにも関わらず浮気を疑われ、夜な夜な泣かれ嫉妬されている。もう少し寄り添ってコミュニケーションとってあげると安心できていいのかなと思います。人間は口があるので思っている事、あなたの事を心配している、愛しているという事は話すべきだと思います。口下手な日本男性の課題ですね!しかし新平さんは愛されていてうらやましい。

物語の最後、妻の異変と新平の対応に鋭く冷静に切り込む長女!(次男)がいてくれたおかげでホッとしました。結婚したら、お互い、どんな風に過ごしたいか、常にすり合わせ、家族にも共有しておくことが大切ですね。人間には口があります!思ったことは伝え合う、考えが違っても否定するだけではなく、相手の気持ちを理解し、着地点を見つける事は大切です。結婚した以上、個人ではなく家族を第一に考えてほしいと思います。

難しくコメントしていますが、単に面白いので是非読んでみてください!(笑)